はなちゃんのみそ汁 番外篇

亡き妻のブログ「早寝早起き玄米生活」アーカイブから

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健康

誰かに必要とされていること

「心が不安定」なんて言ってられない ちょっと、心が不安定だった1月13日の金曜日。 その日、27年前にいじめを苦に命を絶った少年が通っていた中学校で講演をした。 翌日、講演を聴いた生徒からインスタグラムにメッセージが届いていた。 文面には感謝の言葉…

あたり前のことができること

涙の理由 その日、わが家には友人たちが集まり、千恵は珍しく少しだけお酒を飲んだ。 機嫌よく、バルコニーで三線を弾きながら「童神」を歌った。 日も暮れて、台所で片付けをしていると、そこに千恵がいないことに気づいた。 はなと一緒に探した。 千恵は襖…

つらい時期、はなの存在に救われて

抗がん剤治療の再開 がん再発後、千恵はホルモン療法の可能性に賭けたが、治療の効果は薄かった。 2006年10月、九州がんセンターの診察室でCT検査結果の画像を見た。 両肺に星の数ほど、骨にもあちらこちらに、肝臓は最大4センチ。 これまでの画像とは明らか…

人間ドックで安心得る

妻を看取った病院で 14年前に妻の千恵を看取った福岡市内の病院で、人間ドックを受診した。 身内を亡くした病院での検査は縁起の良いものではない。 だが、知人がこの病院で早期の胃がんを見つけ、一命を取り留めたとの話を聞き、2016年から毎年受けるように…

人はそこにいるだけで価値がある

「生の反対は何だと思う?」 15年前、助産師の内田美智子先生から、こう問われたことがある。 僕が「死ですか」と答えると、内田先生は首を横に振った。 「私は死じゃないと思う。生の反対は『生まれないこと』。生まれたものにしか『生』も『死』も存在しな…

咀嚼(そしゃく)のすすめ

「噛むことは、命の貯金やで」 「何を食べるか」に注目が集まりがちだが、「どう食べるか」も大切。 噛むことは生きること。 咀嚼は、胃腸の働きを助け、歯の病気を予防し、脳の機能を高め、肥満防止に役立つ。 妻は生前、食事指導を受けていた元正食協会会…

日本一甘いニンジン(当社比)

菌ちゃんふぁーむ 1年中スーパーに並んでいる西洋ニンジン。 旬が年に2回ある。 「春夏ニンジン」が4月から7月。 「冬ニンジン」は10月から12月。 特に冬ニンジンは甘みが強く、栄養価が高い。 おすすめしたいのは、吉田俊道さん(菌ちゃんふぁーむ)の無農…

カツラを外す勇気と決断力

「ベリーショートもいけるやろ」 カツラは着け始めるときに勇気と決断力を必要とする。 しかし、それ以上に外すときの方が勇気と決断力が必要とされる。 千恵は潔かった。 「私、ベリーショートも結構いけるやろ」 2007年夏、そう言って、カツラをやめた。 …

その命、いらないのなら私にください

妻のつぶやき 人を殺めて、罪を償うことなく、自分の命を自ら絶つ。 そのような自殺報道に直面したときの千恵のつぶやき。 覚悟を決めているかのように、僕には聞こえた。 「その命、いらないのなら私にください」 千恵の通夜。展示された母娘の写真(2008年…

乳がんと出産

「子どもは無理」と言われていたが・・・ 2002年6月22日朝、千恵が妊娠していることが分かった。 抗がん剤治療を終えて1年3カ月が過ぎていた。 薬の副作用で「子どもは無理」と言われながらの奇跡的な妊娠。 だが、実は、がん患者にとっては出産はリスクが高…

「もし、ママが私を産まなかったら・・・」

妻がこの世にいた証し 2015年8月31日の夜。 中学1年の娘が千恵の遺影を見ながら、つぶやいた。 「ママはどうして、私を産んだのかなあ。もし、私を産まなかったら、今も生きていたかもしれないよね」 千恵が娘をどれだけ愛し、生まれてきてくれたことに感謝…

うそつき千恵さん

形見のメガネ 千恵は、極端に右目の視力が悪かった。 時々、彼女のメガネを見ては思い出す。 千恵のメガネ。いつもコンタクトだったので、ほとんど使ってなかった。(2022年11月25日) やっぱりわたしはツイている?(2007年12月3日) 去年秋から今年の春先…

泣きたくても、泣けなかったのかもしれない

それでも、人生は続く 元読売テレビのアナウンサー、清水健さんの講演会にゲスト出演させてもらった。 僕が千恵を亡くしたのは2008年7月。娘は5歳だった。 清水さんは、読売テレビの「夕方の顔」として、ニュース番組のキャスターを務めていた2015年2月、妻…

喜びも悲しみも分かち合える

12月9日はブログ記念日 千恵は毎日ブログを書き続けた。 ブログを通じて、全国に仲間ができた。 喜びは仲間と分かち合うことで倍になり、悲しみは仲間と分かち合うことで半分になった。 来月9日は、千恵がブログを開設して16周年。 あの日、「続けてよかった…

記憶にございません!

聞き覚えのあるセリフ シス・カンパニー公演「ショウ・マスト・ゴー・オン」(作・演出:三谷幸喜)を観劇した。 同作品は、28年前、三谷さん率いる劇団「東京サンシャインボーイズ」の演目でもあった。 そのときの感動を娘と共有したくて、今回、親子で見に…

娘のソウルメイト

徹夜で作った銀の指輪 僕が杉森映徳を取材したのは、宗像支局に勤務していた頃だ。 ※アーティストネーム:すぎもりえいとく 1998年だっただろうか。 彼は、福岡教育大の大学院生だった。 食肉センターで手に入れた牛の首を鍋で煮る路上パフォーマンス。 その…

「木」ではなく「松」です

宛名に込められた友人の思い 2007年の「いのちのうた」の楽屋にはたくさんの花が届いた。 その中のひとつに「六本松さくら」宛ての花があった。 贈り主は、友人の瀬野文宏さん。 千恵の実名をご存知なのに、敢えてブログのハンドルネームで。 ユーモアが楽し…

がんと向き合う「3つの大切なこと」

「うるとまらん」は助けてくれない 4歳の頃の娘は「ウルトラマン」を「うるとまらん」と言ってました。 「お子様ランチ」は「おこさらまんち」。 「トウモロコシ」は「とうろもこし」。 「色鉛筆」は「エロえんぴつ」。 おっと、失礼。 調子に乗って、本題か…

さくらと吾郎

夫婦のユニット名 妻の闘病生活が新聞連載で紹介されたことは、以前、こちらのブログで書きました。 hanamisosoup.com 妻は、ブログのハンドルネーム「六本松さくら」で連載に登場。 まだ、実名での取材対応には、躊躇しておりました。 僕は今、ブログで実名…

東京でバズる

シリーズ累計100万部を突破 イケイケだったあの頃。 書籍編集者として、東京には何度も上京した。 ジュンク堂書店新宿店の書籍売り場(2007年10月12日) 後に、シリーズ累計100万部を突破した「食卓の向こう側」。 全国の新聞社でつくる出版協議会から講演を…

妻に見せたい、19歳の娘

「ああ、これが親なのか」 保育園児の娘が運動会で走っている姿を初めて見たとき、涙が出た。 横では、妻が「はなちゃーん!」と絶叫していた。 僕は、動画撮影しながら「ああ、これが親なのか」と思った。 娘は2月生まれで、他の子どもたちに比べて体が小さ…

あのとき、本当の家族になった

最後の6行で、もうじゅうぶん がんの治療費について書いている妻のブログを読んだ。 確かに家計が大変な時期もあった。 家計だけじゃなく、なんもかんも大変やった。 でもね。 君が寝たきりになっての1カ月間、 おむつを替えてあげることができて、俺は幸せ…

ちょっとでも異変を感じたら

ピンクに染まる福岡タワー 福岡市民なのに福岡タワーには滅多に行かない。 9年前、娘を連れて友人たちとサイクリングに行ったときが最後かもしれない。 10月は乳がん月間。 毎年、福岡タワーにピンクリボンのイルミネーションが灯る。 まだ、一度も見たこと…

娘を思い「がん検査」に向き合う

100万回生きたねこ 千恵は絵本が好きだった。 2000年7月、千恵が乳がんの手術(左乳房全摘出)をするかどうか迷っていたとき、勤めていた小学校の同僚が、絵本「100万回生きたねこ」(講談社)を病室に持ってきてくれた。 絵本「100万回生きたねこ」を読む千…

サツマイモの正しい食べ方

犬は飼い主に似る わが家には2匹のミニチュアダックスがいた。 チョコタンの「さくら」とレッドの「アビー」。 犬の性格は、飼い主に育てられていく過程で得た体験によってつくられる傾向があるという。 飼い主が明るく、いつもニコニコと笑顔で接していると…

誰かの希望になれるなら

妻の闘病が新聞連載に 妻千恵が名付けた「ダンディーT」とは、西日本新聞社の僕の同期であり、友人の田中耕記者。2007年10月、彼が妻の新聞連載を書いた。 妻の実名を出さず、ブログのハンドルネーム「六本松さくら」の名で。 連載タイトルは「いのちのうた…

「わかりあう」ということ

「生きた証を残したかった」 妻をがんで亡くされた元読売テレビアナウンサーの清水健さん。 彼と初めて出会ったのは、2017年秋。 文藝春秋が企画した対談だった。 清水さんの妻奈緒さんは2015年、29歳で他界。 そのとき、長男は生後112日だった。 清水さんの…

娘のウェイクボード奮闘記

初めて歩いた日 ウェイクボード合宿2日目。 娘も大学の友人2人を連れて、芦屋ヨットハーバーに合流した。 波は穏やか。気温も30度を超え、絶好のコンディションだ。 僕が滑った後、娘が海に入った。 プレジャーボートが動き出した。 ロープが、ぴんっと張っ…

59歳の晩夏、やればできる

戻ってきた体力 先週、台風で中止になったウェイクボード合宿。 このまま夏を終わるわけにはいかなかった。 天候の回復を待ち、昨日、海に向かった。 初日(9/12)の芦屋ヨットハーバーは、絶好のマリンスポーツ日和。 真夏が戻ってきたような暑さだった。 …

のんびり、ゆっくり、マイペース

娘のダンス、妻のダンス 娘は、いつもマイペース。 家ではのんびり。 語りもゆっくり。 食事は「まだ、食っとったんかい!」と言いたくなるほど遅い。 驚いたのは、アルバイト先の飲食店では、きびきび動いていること。 やればできるじゃん、と思った。 妻の…