鳶が鷹を生んだのか
どうしてあのとき、あんなひどいことを言ったんだろう。亡き妻千恵のブログを読み返していると、反省の連続だ。
千恵が、市販のルウを使わずに小麦粉と牛乳でクリームシチューを作ってくれたことがあった。僕は一口食べて「まずい」と言った。
その日は、千恵の親友がわが家を訪れていた。大学生時代の千恵とルームシェアをしていた女性だった。
「信吾さん、ひどいこと言うね。千恵がせっかく作ってくれたのに」
彼女は、僕の冷たい態度にムッとしながらシチューを口に運び、「ほんとだ。まずい」。
「もう、あんたたち食べんでよか」。僕たちの無神経な振る舞いに怒った千恵もシチューをひと口。「まずい」と言っていた。
その千恵に料理を教わった娘。
今年19歳になった。
鳶が鷹を生んだのか。
千恵に怒られそうなので、鷹が鷹を生んだ、と言っておこうか。
幼いころから昆布とかつお節の出汁をとる技術は、大人顔負けだった。
来年の正月は、僕の両親に雑煮を作ってあげるそうだ。
以下、千恵のブログ。この約1カ月半後の2007年2月20日、4歳の誕生日を迎えた娘に包丁とエプロンをプレゼントし、昆布とかつお節で出汁をとったみそ汁の作り方を教え始めた。
寝正月(2007年1月3日)
福岡市の中心部天神は、昨日早朝から初売りが始まっている。
生まれてこのかた、福袋を買ったことのない私には、何が入っているかわからないものに、1万円以上支払うことなど到底理解できない話だけど、福袋好きの人にとってはそれが楽しみというから、人の好みとはわからないもの。
よって、初売りにも行かず、正月を理由に午前中は遅寝してしまっている・・・。
特に遠出はしないのだけれど、両方の実家に顔を出し、おせちをいただく。
必ず正月は、どちらかの実家で過ごしているので、嫁に行ってから6年目というのに、まともにおせちを作ったことがないのだ。
病が落ち着いてから、マクロビのおせちをぼちぼち学ぶとしよう。
雑煮だけは作ってみたけれど、旦那の評価は厳しい。「味が薄い」とひと言。
出汁が命のこの手の料理は、実は一番難しいのかも。