あのとき、本当の家族になった - はなちゃんのみそ汁番外篇

最後の6行で、もうじゅうぶん

がんの治療費について書いている妻のブログを読んだ。

確かに家計が大変な時期もあった。

家計だけじゃなく、なんもかんも大変やった。

でもね。

君が寝たきりになっての1カ月間、

おむつを替えてあげることができて、俺は幸せやった。

はなは、回復を祈り、ホワイトボードにメッセージを書いた。

あのとき、俺たちは、本当の夫婦になった。

本当の家族になった。

ブログに書いてくれた最後の6行で、もうじゅうぶん。

こっちこそ、ありがとう。

金銭感覚の崩壊？（2007年10月5日）

がんになってから、食事療法を取り入れるようになってから、

私の金銭感覚は完全に崩壊している気がする。

前回やっていたナベルビンは1回の治療で9,800円ほどだった。

会計前で値段を聞いたとき、「え～！こんなに安くていいんですか？！」と

小躍りしながら帰宅したものだ。

以前の私なら、とても払えない金額。

でも、薬代が、私の金銭感覚を麻痺させていることは確かだ。

今回切り替えたTS-1はまだ新しい薬なので、薬価が高い。
錠剤なのに、2週間分で15,000円近くする。
点滴の方が高いような感覚なのに、抗がん剤ってば、値段が読めない。

前々回やっていた点滴のタキソテールは、1回の点滴で20,000円を越える。
しかも、タキソテールと同時期にゾメタ（骨の治療薬）も打っていたので（今はやめている）、その時期は1回の点滴で47,000円近く取られていた。ゾメタも高い。

ホルモン治療だって、高かったよ。

注射は1回19,000円くらいだったし、プラス飲み薬は5,000～6,000円してたもん。

これが、2～3週間に一度訪れるので、月によっては、余裕で10万円を越える月だってあった。

高額医療で半分くらい戻ってくるとはいえ、びっくりする値段だ。

普通の家庭の1年間分以上の医療費を1人で。しかも、ひと月で使う。

感覚が麻痺するわけだ。

そう言えば、私たちの結婚披露宴はレストランでの会費制パーティーだったから、分からないけど、友達がホテルで結婚披露宴をする時に、
「完全に金銭感覚が麻痺する。会場費がうん十万、ドレスも1着うん十万単位でしょう。だから、テーブルの上に置くロウソクが1本400円とか言われると、もう安く感じてね～。どんどん置いてしまうんよ～」と。

それに近いものがあるのかな？

そんなこんなで、治療の波を一通り乗り越えると、9,700円なんて安く感じてしまうのだ。

代替医療になると、保険が利かないから、高いのは平気で50万とか100万以上とかだもん。

食材だってそう。

オーガニックと普通の食材を比べると、オーガニックが断然割高なのだが、それを薬だと思えば安いもの。

以前の私は、貯金魔で、ケチだった。
独身時代には、300万円ほど貯めていた。
もう、すっかり治療費で使い果たしてしまったけれど。

お金は握りしめていても何の役にも立たない。

還元しなければ、生きてこない。

それを、病を通して学ぶことになろうとは。

皮肉なものだ。

今は、貯金も持ち金も有価証券も、な～んにも持ってない。
借金の方が多いけど、心は幸せだ。
身体は病んでいても、心はまだ病んでいない。

お金は、あちらに持っていけないんだよね。

身体に巻き付けていたとしても、棺桶に入れられて焼かれたら灰になるだけ。

お金は、自分のためだけではなく、労ってくれた人のために惜しみなく使おうと思う。

やっぱり、人生には、何も無駄はないのだと感じている。

でも、そのおかげで、航空会社のマイルがじゃんじゃん貯まって、マイルだけで今回ムスメと私は沖縄に行けたんだし。

たまには、いいこともあるか？

あらためて、文句ひとつ言わずに、
お金を提供してくれる旦那に感謝。

借金ばっかりさせて、すみません。

絶対、恩返しすっけん。

おむつも替えちゃーけん。

長生きして待っとって！

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安武千恵追悼コンサート「いのちのうた第15章俺たちは家族だ！」

2022年12月3日（土）

15:00 開演 ( 14:00 開場 )

会場：ブードゥーラウンジ（福岡市中央区舞鶴1-8-38 WAVE BLDG 4階）