うそつき千恵さん - はなちゃんのみそ汁番外篇

形見のメガネ

千恵は、極端に右目の視力が悪かった。

時々、彼女のメガネを見ては思い出す。

千恵のメガネ。いつもコンタクトだったので、ほとんど使ってなかった。（2022年11月25日）

やっぱりわたしはツイている？（2007年12月3日）

去年秋から今年の春先までしていた抗がん剤の「タキソテール」の副作用で、まつ毛がことごとく抜けたわたし。

悲しくもないのに涙があふれてくるので、
コンタクトが合わなくなり、ついに今年の7月に、コンタクトを買い替えました。

快適な「見える」生活を送っていたところ。

昨日の朝、装着しようと思って手にとったところ、パリッと3分の2ほど割れてしまいました。

があああ～～～～ん。

昨日は、そんなこんなで見えない生活。

メガネは好きではないので、交換してもらいにさっさと眼科へ行くことにしました。

と、7月にコンタクトを購入した際の保証書を見たところ、

「購入後、3カ月以内に定期検査を受けていらっしゃらない場合は、交換等の保証の対象外です」

と書いてありました。

があああああ～～～～～～～ん。

3カ月定期検査、行ってない。

でも、見えないのはとっても困るので、とにもかくにも眼科へ行くことにしました。

もう、この時点で、言い訳を考える考える。

「抗がん剤の副作用で、行けませんでした。ごめんなさい」（うそ）
「まつ毛が生えていないので、行けませんでした」（これも、半分うそ）エトセトラ。

バスに揺られて眼科に向かう道すがら、ココロの中で、

「ああ神様。今日わたしは、うそをつきます。ごめんなさい」

と謝ってみたり。

眼科へ到着。

ごめんなさいの「ご」の字も言わないうちに、奥へ通されて、さっさと新しいコンタクトに交換。

看板そっくりのメガネのおじさん先生の
診察も、あっさりと、簡単すぎるほど簡単に。

「調子悪いところ、ないですか？」

「特にないです」

「そうですか、じゃ、またね」

え？

えええええ？

それだけですか？

あっさりさっぱりすっきりと、新しいコンタクトを無料で手に入れ、眼科を後にしたのでした。

やっぱり、なんとなく思ってはいましたが、
私の顔に書いてあったんですね・・・