それは「大人になりたい」という子どもの本能
「弁当の日」の提唱者、竹下和男先生の著書「『ごちそうさま』もらったのは“命”のバトン」(自然食通信社)には、弁当作りを経験した子どもたちのさまざまなエピソードが収録されている。
僕が講演で毎回紹介する「こげこげ弁当」の話もそのひとつ。
下の画像は、ある男子生徒が人生で初めて作った弁当。
竹下先生は、その弁当を「独立宣言弁当」と名付けた。
「弁当の日」の前夜、この男子生徒と母親の会話。
「母さん、あしたの弁当の日は俺に弁当を作らせてくれ」
「馬鹿なこと言わないの。弁当を作るのはお母さんの仕事。あなたは勉強をしなさい!」
竹下先生が、男子生徒の弁当を「独立宣言弁当」と名付けた理由は・・・・。
「弁当の日」が始まって4回目のこと。白いご飯の上に焦がした肉とナスとタマネギをのせただけの弁当を持ってきた中学の男子生徒がいました。その焦げ具合がハンパじゃありません。3回目まで、きれいな弁当を持ってきていただけに、その落差が強烈でした。
でもそれは、大きな成長の証でした。
「弁当の日」には「自立」という大きなねらいがあります。それは、子どもの「親離れ」だけでなく、親の「子離れ」も含めています。こんなに焦げた弁当を持っていけば、クラスの中でいじめられないか、みじめな思いをしないか、変なあだ名をつけられて不登校になったり、一生“負け組”になるきっかけになったりしないかと、親はマイナスイメージを膨らませるのです。
でも、子どもは、失敗をする権利があるのです。失敗から学ぶことが大切です。
親や教師が気をつけたいことは、失敗をさせないことではなく、失敗にくじけないたくましさを育ててやることです。(「『ごちそうさま』もらったのは“命”のバトン」の本文より一部抜粋)
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竹下先生は、このエピソードを「大人になりたい、という本能が導く自然な感情」と解説。
「弁当の日」は深いなあ、と思わずにはいられません。
ぜひ、ドキュメンタリー映画も併せてご観賞ください。
どちらさまも、うっかりクリック。