僕が誘い出されたもうひとつの理由
まずは前置き。娘の彼氏。
ネスタのアルバイト先での食事を言い出したのは、僕ではない。
高校の同級生、靖史の誘いだった。
靖史とネスタは、わが家で一度会っていた。
「内緒で店に行ってみようや。あいつ、びっくりするばい」
サプライズは大成功。
だが、靖史が僕を誘った理由は、もうひとつあった。
ネスタを肴に、遅れて合流した娘と3人で大盛り上がり。
酔いも回り、僕が「そろそろ出ようか・・」と言いかけたときだった。
靖史がぽつりとつぶやいた。
「お前が、ブログにあげんこと書いとったけん、心配したばい」
1月11日に投稿したブログのことだった。
妻が他界した後、15年間の子育てにひと区切りついた今年の「成人の日」。
その翌日、張り詰めていたものが一気に緩んだ。
ブログには、喜びよりも安堵と寂しさが上回って号泣したことを綴っていた。
靖史は、心が不安定だった僕を元気づけるために誘ってくれたのだ。
「靖史、俺がおごるけん。もう一軒、行こうか」
「パパが若い頃、この店でなあ・・」などと娘に講釈を垂れながら熱々のラーメンを啜る。
気分が沈んでいたことは忘れていた。
この日の「八っちゃん」は最高にうまかった。
どちらさまも、うっかりクリック。