人生2度目のジロー
娘と娘の彼氏ねすたからランチに誘われた。
行き先は、福岡市内でうまいと評判の二郎系ラーメンの店。
人生2度目の二郎だ。
13時半ごろの到着を目指し、地下鉄に乗った。
店に向かう途中、ねすたが注文する際のルールを教えてくれた。
「きょうの店は、ちょっと上級者向きです。まず、自動販売機で購入した注文札を店員に見せてください。トッピングは紙に書くのではなく、口頭で伝えなくちゃいけません。『にんにく入れますか』って聞かれたら、僕と同じように答えてくださいね」
「はい、じゃダメなの?」
「それじゃ、ダメです。ちゃんと、やさい、にんにく、あぶら、からめをどうするか。多めなのか、少なめなのか。簡潔に答えてください。『トッピングなし』ならば『なし』で。規定の量でよければ、追加してほしい具材名だけを伝えればいいです」
「トッピングいろいろあるのに、どうして、にんにくしか聞かないんだろう?」
「わかりません。でも、僕の言う通りにしてください」
「難しいな。覚えきらんよー」
僕が戸惑っていると、娘がトッピングの具材名をラインで送ってくれた。
やさいにんにくあぶらからめ。やさいにんにくあぶらからめ・・・。
僕は地下鉄の中で、呪文を唱えるようにそれを読み続けた。
予定通りの時間に店に着いた。
ピーク時間を避けたため、行列はできてなかった。
まず、自動販売機で「ラーメン小」を選択。
それでも麺は200グラムだ。
10分ほど待つと、席が空いた。
カウンターの向こうの従業員と目が合った。
圧を感じた。
「にんにく入れますか」
「やさいにんにくあぶらで」
緊張して、「からめ」を言い忘れたが、通じたようだ。
なんとか、完食した。
評判通りのうまさだった。
わいわいと楽しく食べるというよりも、ラーメンに向き合い、黙って味わうことが、暗黙のルールのようだ(すべての二郎系の店がそうというわけではない)。注文の仕方も初心者には分かりづらい。だが、慣れてしまえば、どうってことない。緊張するが、また挑戦してみたい気にもなる。不思議な魅力だ。別の何かに例えるならば、険しい山道を登り切った後の達成感か。二郎にハマる人たち(ねすた含む)の気持ちが理解できた。
この日の夕食はパスした。
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亡き妻は学生時代、博多駅前のラーメン店でアルバイトをしていた。いつか娘と行ってみたい。
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