2024-10-01から1ヶ月間の記事一覧
母を身近に感じるステージで 始まりがあれば、いつか終わる日が訪れる。 寂しいが、仕方がない。 今年の「いのちのうた」が、娘の“ラストダンス”になりそうだ。 夜、いつものメンバーでダンスの練習を終えた娘が、ぽつりとつぶやいた。 「多分、今年で最後に…
手作りでは出せない味 娘はよく働く。13連勤のアルバイトを終えた夜、LINEで「今夜は何が食べたい」と尋ねると「マックがいい」と娘。 「ハンバーグを焼いてバンズに挟んで作ってあげるよ」 そう伝えたが「なんか、マックの気分なんよ」。 娘はヘトヘトに疲…
駅構内を走り続けた9分間 その日、僕は広島県神石高原町での講演を終え、徳山駅にいた。 時刻は、博多行きの新幹線に乗車する20分前。まだ余裕があったため、土産売り場に向かった。 3人分の尾道ラーメンを買い、改札を抜け、エスカレーターで新幹線のホーム…
大切な人を亡くした後、どう生きるか 元読売テレビアナウンサーの清水健さんと対談することになった。清水さんは、妻を乳がんで亡くしたシングルファーザー。家事や子育て、PTA、地域活動などに悪戦苦闘しながら踏ん張って生きている。 対談を前に、清水さん…
こっそりはうまい 娘がアルバイトで家にいない夜。 冷凍庫の奥の方に隠しておいた高級アイスをこっそり食べる。 自分のお金で買ったアイス。 後ろめたさを感じる必要はないはず。 なぜ、こっそり食べるのだろうか。 理由はよくわからない。 でも、こっそりは…
家庭教師は娘の彼氏 朝からそわそわしていた。大阪から元読売テレビアナウンサー(現フリーアナウンサー)の清水健さんが、小学生の一人息子を連れて、わが家を初めて訪ねてくるからだ。2人の到着は夜なのに、昼過ぎにはバーベキューの準備が整っていた。 清…
不器用だが、やさしい 妻の葬儀を終えて3週間後の夜、僕たち親子は自宅のバルコニーにいた。当時5歳の娘と一緒に、真夏の夜空に打ち上げられる花火を見ていると、インターホンが鳴った。玄関には、友人で運送会社社長のヨウイチが寿司桶とビールを持って立っ…
妻がいない花火大会の夜 2008年8月1日、自宅近くの大濠公園では恒例の花火大会が催された。 妻の千恵が亡くなって約3週間。まだ、現実を受け止めることができなかったころだ。 僕たち親子は、バルコニーにデッキチェアを並べて、夜空に上がる花火を眺めてい…