はなちゃんのみそ汁 番外篇

亡き妻のブログ「早寝早起き玄米生活」アーカイブから

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ハゲとかつらに関するがん患者の考察

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人がどう思うかではなく、自分がどう思うか

昨春、千恵の遺品を整理した。

服はかなりの量を処分したが、捨てられないものもあった。

そのひとつが、かつらだ。

目にしっかりと焼き付いているからだろうか。

今もタンスの中に保管している。

僕の頭がハゲたら、これを使おう。

 

ドイツのある市場調査会社が世界22カ国・地域で行なった「外見に関する満足度のリポート結果」によると、自分の外見への満足度が最も低かったのは日本人だったそうだ。

日本人は、人の評価が気になる、人と違いがあることを恐れる国民性を持つということか。

僕の周囲にも、コンプレックス意識が強く、自分が他人から見下されることを恐れて、自己防衛のために先にマウントを取り、優越感を得ようとする人がいる。いつも、人と自分の優劣を比較しているように見える。

僕は千恵に「気分転換に髪を明るい色に染めたら」と提案したことがあった。

彼女は、染めようとしなかった。

その理由は「今は誰もが髪を染めている。黒い髪の方が珍しいぐらい。どうしてそんなお金を使う必要があるの? 黒髪でいいじゃん」

染めることを否定しているわけではない。

「人がどう思うかではなく、自分がどう思うか」である。

人生が短くても、どう生きるかが大切。

千恵は僕より12歳も年下だったが、彼女の生き方には学ぶことが多かった。

 

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千恵に髪を結んでもらう娘

千恵が抗がん剤の副作用で脱毛したころのブログを読んだ。

僕がまた、いらんことを言っている。

なんて無神経な男なんだ、とあらためて思う。

 

かつらゲット!(2007年2月5日)

 

先週、老舗のデパートが改装前のセールを始めた。

大丸の中には、フォンテーヌ(知る人ぞ知る、ウイッグ専門店)が入っている。

フォンテーヌもセールとの情報をチラシでチェック。副作用の微熱はまだ下がっていなかったが、かつらは高価な物だ。

ただでさえ毎月抗がん剤でお金がかかるから、少しでも安い時に手に入れておきたかった。

雪が舞い散る中、意を決して天神へ出かけた。

何しろ7年前に購入したかつらを継続して使用しているものの、中のゴムは伸びるし、毛はもつれるし、気のせいか、臭うような・・・今後の治療を気分良く過ごせるためにも、ここは、購入を決意した。

 

7年前の抗がん剤治療前も「絶対ハゲるから、かつらは用意しておいたほうがいいよ」と看護師さんから言われ、購入したのもフォンテーヌの物だった。その時は、かつら情報に詳しくなくて、調べることもせず、言われるがままの購入だった。

まずは、ハゲた時のショックを軽減するために、手術前にセミロングの髪を病院内の床屋で、 ベリーショートにカット。そうして、術後抗がん剤で毛が抜ける頃と近い髪型のかつらを、床屋のカタログを見て注文。

そうして、ショートカットのかつらを使用した。5万2千円もしたそれは、その後、仕事に復帰した際に大活躍。夏は蒸れて暑いけど、恥をかかずにすんだのは、かつらのおかげ。しかし、それから6年経過した今、まさかもう一度、かつらの世話になるとは思っていなかった。

 

今回も、抗がん剤治療に入る前に、ロングの髪を自分でショートに切った。どうせハゲるから、わざわざ美容室に行くのはもったいないと思ったから。正解だった。

治療に入ると、第1回目の投与から2週間で、ほぼ一休さん状態になった。

あの、抜ける時の何とも言えない悲しさは、やっぱり体験しないとわからない。

ハゲたおっちゃんたちが、ありえないくらいの分け目で前髪を作っていたりするのを、この体験で微笑ましく感じられるようになった今日この頃。人生に、無駄なことなど何もないのだ。

 

さて、初のフォンテーヌ店舗内での買い物に大興奮だった。

かつらって、日々進化するものなのだ。

7年前と比べて、種類も髪型も豊富に。頭皮がついているのもあれば、機械植え、手植え、人毛ミックスなど。もちろん値段もピンキリ。良い物は、12万~20万以上する。恥隠しとはいえ、数カ月のために10万以上は出せない。

旦那からは「どうせ買うんだったら、かみなりマンとかインパクトの強いやつにしなよ」と言われた。人ごとだと思って、好き放題言う。

 

まずは、チラシで見たセール品の一番安い2万1千円の物を出してもらったけど・・・。

どれも、カミナリ頭、つまりおばちゃんパーマ。これでは、今後気分良く過ごすことは無理。

そこで、セールの有無は気にしないことにした。ちょっと値は張るけど、予算は5万前後で。

私と私についてくださった店員さんがいろいろ試した後に最後に絞った候補、タレントで例えると、蝦ちゃん風か、小西真奈美風か、上戸綾風。

蝦ちゃん風だと、いきなりロングになるわけで。病気のことを知らない人にとっては、かなりのディープインパクト

上戸綾風だと、前髪が長すぎて、カットしなければならず・・・。

ということは、そのままかぶって帰ることができる小西真奈美風がベストね、ということになった。髪型も、以前のかつらとそう変わらないから人目を気にする必要もない。

 

約1時間、さまざまな髪型に変身したあげく、一番ぴったりでフィットして値段も予算内。

人毛ミックスではないものの、自然に見える。

土台は小西さんとはほど遠いから、娘のキティに試着させてみた(笑)

 

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かつらをかぶったキティちゃん