子守唄は「ゆりかごのうた」
はなは、病気もせず、すくすくと育った。僕と千恵の体調も良好だった。
6月には親子3人で長崎県佐世保市のハウステンボスに行った。8月は、福岡の夏の風物詩、大濠公園の花火大会を自宅のバルコニーから眺めた。いつも、自宅に友人たちが集い、千恵が手料理を振る舞った。親子で初めて過ごす夏を仲間たちと一緒に山や川で楽しんだ。
これが家族か。これが親子か。僕たちの中心には、いつも、はながいた。見るものすべてが新鮮で、なにもかもが平和だった。
はなが泣き出すと千恵は歌を口ずさんだ。子守唄は「ゆりかごのうた」。千恵のコンサートの定番の曲だった。千恵が歌い出すと、はなはピタッと泣き止んだ。
「おはよう、はなちゃん」「おっぱいだよ」「お利口さんだね」「さあ、はなちゃん、パパとお風呂だよ」「子守唄、歌ってあげるから寝ようね」
千恵は一日中、はなに語りかけ、抱きしめた。
「信ちゃん、子どもは、かわいいね。子どものためだったら、わたし、何だってできる。はなちゃんを産んで本当によかった」
(続く)
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