ヒントをもらい「その後」を追う
ドキュメンタリー映画「弁当の日」の撮影が大詰めを迎えた2020年3月26日、僕は大分県佐伯市の健康福祉総合センターでカメラを回していた。
当時、佐伯市役所に勤めていた柴田真佑さんらが主催する「巣立つ君たちへの自炊塾」の現場。同センターの調理実習室には、高校を卒業したばかりの若者たちが集まった。
4月から一人暮らしを始める若者たちは、地元でレストランを経営するシェフの指導で、みそ汁を作り、ご飯を炊いた。
撮影中、会場の壁に掲示されていた印刷物に目がとまった。
それは、過去の参加者たちの体験談をまとめたものだった。
失敗してもいい。それが成長につながる。
ハンバーグを焦がした女の子の幸せな未来が、目に浮かんだ。
苦いハンバーグを成長の糧に・・・
巣立ちの前夜、「今晩は私が作るから、お母さんはテレビでも見て休んじょって」と言って台所に入った娘。なかなか料理が出てこないので、そ〜っとのぞいてみたら焦げくさい台所に立ち、娘は泣いていました。
「最後においしいハンバーグを食べてもらって、18年間の御礼をちゃんと言いたかったのに私はぜんぜん出来んかった。お母さんに喜んでほしいと思ったのに、ぜんぜんダメじゃった。ごめんなさい・・・」
苦いハンバーグを親子でつつきながら「ホントまずいわ」と笑い泣きしました。
福岡で一人暮らしを始めた娘、あの失敗を糧に自炊がんばっているようです。
(平成28年度・参加した高校生の母親)
この体験談が、次回作のヒントになった。
「弁当の日」を経験した子どもたちの「その後」を丁寧に追う。
そこからまた、何か見えてくるものがあるのではないか。
あれから3年。
「その後」の撮影を終え、今、自宅でコツコツと編集作業中。
ナレーションと音楽を入れたら、ほぼ完成だ。
今回の試みは、お金をかけずにドキュメンタリー映画を製作する個人的な実験でもある。
時間と労力がとてつもなくかかるが、経費がとてつもなく節約できる。
5月ごろには公開できるよう頑張ります。
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