デートは小倉のおでん屋台
千恵はおでんが好きだった。
結婚前、デートはいつも北九州市小倉のおでん屋台。
妻の遺伝なのか、娘も「週一で食べたい」と言う。
リクエストは、餅入りきんちゃく、厚揚げ、コンニャク、ダイコン、春菊。
春菊は、おでんの鍋の中でさっと茹でで、シャキシャキの食感を楽しむ。
好みも妻にそっくりだ。
小倉の屋台は、博多と決定的に違う点が2つある。
ひとつは、アルコールを置いてない。
もうひとつは、おはぎが名物。
したがって、家族連れが多い。
僕らがよく通っていたのは旦過市場前の「はる屋」さん。
コンビニで買ったビールを持ち込んで、おでんを食べた。
小倉の屋台は、酒の持ち込みがOK。
大きなおでん鍋と木箱に入ったおはぎが懐かしい。
いつか、娘を連れて行こうと思う。
以下、妻がブログに投稿したおでんの話。
「鍋とおでんとがん治療」(2006年12月10日)
福岡の風も、冷たくなってきた。
いよいよ、冬到来。
がん患者には、辛い季節だ。
おまけに禿げているからウイッグか帽子は手放せないし、外出時は肺が冷えないように必ずマスクをする。これにサングラスでもかけたら、多分郵便局からも銀行からも入り口で止められること間違いない。
でも、命がかかっているから、なりふりかまっていられないというのが現状。
まだ冬になったばかりなのに、春が来るのが待ち遠しい。
がんは、冷たい温度で増殖する生き物。41度以上になると死滅するとも。
体内で一番温度が高い心臓と脾臓にがんができないのは、そのためとも言われる。
したがって、体を中外から温めることはとても大事なことだ。
今は、前原にある酵素風呂(おがくず風呂)に定期的に入りに行き、気功にも通っている。自宅では温熱治療が欠かせない。風呂は、ゆったりと半身浴。全て、副交感神経を働かせるものばかり。
抗がん剤だけに頼るのではなく、できることは何でもやってみるのが私流。
とにかく温めると気持ちがいいし、実際、春以降、左あばらにあった転移からくる痛みが数カ月前から消えているのだから。頭の骨にも、骨盤にも背骨にも転移はあるはずなんだけど、痛みは全く感じない。
効果は絶大と見た。肩の凝りなんかも、温めるだけで和らぐ。
もちろん体の中からのアプローチも大事。
というわけで、冬の間、食卓には土の中で成長する根菜類の登場が圧倒的に増加する。
土の中で育つ野菜は、下半身や内蔵を強化し、温め、腸をきれいに掃除する。
なので、体の中から温まる鍋とおでんが最近の我が家の食卓の定番になっている。
何より野菜がたくさんとれるし、残った汁は玄米を入れて雑炊にできる。
大根は皮をむかずに下ゆでして入れる。
コンニャク、添加物なしの練り物少々、サトイモ、高野豆腐、きんちゃく、厚揚げ、春菊。
もちろん、だしを取った後の昆布も結んで食べる。
無駄がない食べ物って、大好き。