はなちゃんのみそ汁 番外篇

亡き妻のブログ「早寝早起き玄米生活」アーカイブから

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暮らし

命がけであなたを産んだ⑥

娘の名前に込めた思い 娘の名前はすぐに決まった。 平仮名で「はな」と名付けた。 僕たち夫婦は病気をした。病気が、1人では生きていけないことを教えてくれた。 支えてくれた周囲の人たちの言葉や行動に「愛」を感じた。 花は愛すべき人に贈る。 受け取った…

命がけであなたを産んだ⑤

親になる その夜、千恵は出産を決意した。 吹っ切れたのだろうか。翌日から千恵は人が変わったように明るく振る舞った。 一度は子どもをあきらめていた。そんな僕たちが、間もなく親になる。信じられなかった。 結婚して2度目の年を越した2003年2月20日。出…

命がけであなたを産んだ④

死ぬ気で産め お腹の赤ちゃんはどんどん大きくなる。産むか、産まないか。決断までのタイムリミットが迫る。本来ならば、幸せの絶頂期のはずなのに、僕たち夫婦は、かつて経験したことのない苦しみを味わった。 最終的には、実父の「死ぬ気で産め」の一言で…

命がけであなたを産んだ③

二者択一 抗がん剤の副作用で、子どもは無理といわれながらの奇跡的な妊娠。 だが実は、千恵は妊娠を望んでなかった。 がん患者にとって出産はリスクが高い。エストロゲンという女性ホルモンが卵巣から活発に出始めることで、がんが再発する可能性がある。文…

命がけであなたを産んだ②

妊娠 結婚前、千恵は主治医に「抗がん剤の影響で出産は難しい」と告げられていた。 新婚旅行先のカナダから日本に戻ると、千恵から信じられない報告があった。 「おなかにいるみたい」 2002年6月22日朝、千恵が妊娠していることが分かった。 2カ月前、カナダ…

命がけであなたを産んだ①

21歳の誕生日に はな、誕生日おめでとう。 21年前の今日(2/20)、僕たち夫婦の長女として、生まれてきてくれてありがとう。 大きな病気もせず、事故にも遭わず、よくぞ、ここまで育ってくれました。 よくぞ、今日まで生き続けてくれました。 パパも、はなの…

へそくりを見つけ出したような気分

冷凍庫の奥から板のりを発見 午前中は、愛車のメンテナンス。 朝食をぱぱっと済ませて出かけなければならない。 台所で食材を確認。 冷凍庫の奥の方から密封状態の板のりが出てきた。以前、友人からお土産にもらったものだった。炊飯器には、2人分のご飯。粗…

お叱りを受けるかもしれませんが・・・

妻の遺影に報告 僕は結婚を機に、宗教を仏教からキリスト教に改宗した。 亡き妻千恵が、カトリック信徒だったからだ。 カトリックのしきたりに詳しくなかった僕は、千恵の葬儀を終えた後、彼女が好きだったコーヒーや緑茶を遺影に供えた。それを見た義母が「…

ひな人形の収納箱から出てきた一枚の写真

何気ない日常の大切な思い出 気づけば、2月も中旬。 あと2週間ちょっとで、ひな祭り。 娘に「ひな人形を飾ろうか?」と聞いてみた。 「どっちでもいいよ」と、そっけない返事。 就活のエントリーシート作成に追われ、それどころではなかったのだろう。 何年…

おでんを食べながら笑いが込み上げてきた理由

幸せは突然やってくる 自宅でひとり昼食。 昨夜の残りのおでんを食べながら、ぐふふふふと笑っている。 我ながら、気持ち悪い。 今朝、娘と交わした約束を思い出したのだ。 大学が春休みに入った娘は、連日のアルバイト。出勤前、弁当を作っていた。 「出来…

7年前、パパは娘と仲良しだった

あれば大変、なければ寂しい 娘が中2のころ。バレンタインデーにガーナの板チョコとハーゲンダッツをもらった。 反抗期に入るちょっと前。仲良しだった。 7年前のバレンタインデー(2017年2月14日) 若いころ、たくさんもらったチョコレート。 部屋はチョコ…

花粉が飛散する前にやっておきたかったこと

マットレスの中材を水洗い 13日の福岡の最高気温は、18度の予想。 暖かくなると、あの忌まわしい花粉が飛散する。 もう、ぼちぼち飛んでいるような気もする。 鼻がムズムズする。 ピークを迎える前にやっておきたかったこと。 布団干しとマットレスのメンテ…

台所で身についた娘の「段取り力」

社会に出ても役立つはず 娘が作った料理の画像をブログに投稿すると、 「はなちゃん、料理が上手ですね」 というコメントを数多くいただく。 盛り付けなど見せ方が、うまいのだろう。 写真では伝えきれないが、段取りもいい。 2、3品を同時に作るから、弁当…

娘の嫁入り道具にしたい亡き妻のフライパン

何も予定を入れてない休日。 休日はホットケーキでブランチ たっぷり寝て、いつもより遅い時間に起床。 自宅周辺を散歩しながら、朝の献立を考える。 近所のスーパーで牛乳を買って、久しぶりにホットケーキを焼くことにした。 わが家のフライパンは鉄製。 …

娘の1日限定カフェに来てくれた亡き妻の主治医

友人知人が集う場に 2月7日、娘が“1日店長”を務めたカフェ「Hana Kitchen」。 開店と同時に満席になり、厨房は閉店間際までフル回転。大盛況だった。 店内は、娘と僕の友人や知人が一堂に集う場にもなった。 調理の合間に、久しぶりの再会に乾杯。「はじめま…

ピンチを笑い飛ばせる最強アイテム

人生100年時代を楽しく生きるために 気づけば、60代。 体のあちこちが弱り、メンテナンスが必要になってきた。 頭の毛も細くなった。あと何年もつだろうか。 そんなピンチを笑い飛ばしてくれる最強のアイテムがあった。 頭に装着する「かつら」だ。 最近、同…

人生最大の買い物をすることになった娘

契約直前に心境の変化 娘がこれまでの人生で経験したことのない大きな買い物をしようとしている。 モノではなく、自分への投資。 その金額は、20歳の娘が見たこともない大金である。 先日、「ローンは利息が高いから一括で支払いたい。パパ、お金を貸しても…

死別後の悲しみに寄り添ってくれた小学3年の姪

悲嘆に暮れた16年前を回顧 妻が他界した2008年夏、弟家族がわが家を訪れた。 僕の落ち込みようが、あまりにもひどかったので、弟が気遣ってくれたのだろう。 当時小学3年生だった長女をわが家に残して帰ったのだ。 それから約1カ月、僕たち親子と姪の3人は寝…

好きだったのに避けていたラーメン店

一瞬でよみがえった風景 ずっと、足が遠のいていた。 好きだったのに避けていた。 妻が他界して16年。 もう大丈夫かな、と思って店内に入った。 懐かしいにおいがした。 結婚する前、妻と一緒に食べたラーメン。 焼き飯も昔と変わらない味だった。 舌の記憶…

亡き妻のお祝いの日に

手紙で近況報告 前略 千恵さま みぞれまじりの雨が降る寒い朝。 はなが熱を出したので、先ほど、卵がゆを食べさせたところ。 大学の定期試験を終え、ほっとしたんやろうね。 でも、よく頑張ったよ。 卒業まで、あと1年を残し、必要な単位をすべて取ったらし…

家族以外の誰かがカレンダーに書いたメモ

“犯人”はあいつしかいない 昨年のカレンダーは、100円ショップで購入したものだった。 書き込むところが大きくて気に入っていた。 年明けに2024年版のカレンダーを買い忘れていたことに気づいた。 あわてて近所の100円ショップに行ったが、すでに売り切れだ…

食事後に泣き出した娘と姪

大人たちも、もらい泣き 僕には7歳下の弟がいる。 弟は妻と娘2人の4人家族。 長女は保育士、次女は大学2年生だ。 昨夜、次女のゆめかが久しぶりにわが家を訪れた。ちょうど同じ時間に娘のはなも大学から帰宅。3人で近くの居酒屋で食事をすることになった。 …

娘の彼氏は医学生

食の支援続けたい 夕食の片付けを終え、リビングのソファに横になったところだった。 娘が申し訳なさそうな顔をして尋ねてきた。 「ねすた(娘の彼氏)が今からご飯食べに行ってもいいですか、って言ってるんだけど」 その夜、ねすたはわが家に来る予定では…

職場でこっそり読んで涙した妻のブログ

そこにいるだけでいい 大切な人がそこにいる。 今、生きている。 何に不満があるんだ。 十分じゃないか。 そんなことに気づかせてくれた亡き妻のブログ「そこにいるだけでいいということ」。 17年前、職場でこっそり読んだ。 がん闘病中の妻から僕へのメッセ…

娘がいない朝の食卓

近い将来に備えた心の鍛錬 午前6時、娘が東京に出発した。 4泊5日の旅行。福岡には10日に帰ってくる。 長すぎる。 いつもは朝食を作り始める時間だが、食べてくれる人がいないので、やる気が起こらない。 リビングで、ぼーっとしていたら、外がうっすらと明…

かみ合わない父と娘

あのころが懐かしい 「これから友達とカフェでランチを食べてくるね。そのまま、アルバイトに行くから、晩ご飯もいらないよ」 午前中、娘はそう言って家を出た。 家事は終わった。 急ぎの仕事もない。 天気は良いが、外にも出たくない。 ぼんやりとスマート…

2024年をどう生きるか、自分に何ができるかを考える

能登半島地震 妻と京都旅行の際にイノダ本店で買ったコーヒードリッパー。 皿屋(佐賀市)の川本太郎さんが焼いたコーヒーサーバー。 大切な人からいただいたドリップポット。 思い出が詰まったコーヒー器具を取り出し、お湯を沸かす。 晴天の朝、コーヒーが…

娘の彼氏も毎年恒例の餅つきに初参加

来年は妻の十七回忌 毎年恒例の餅つきで2023年を締めくくった。 今年の餅つきには、娘の彼氏ねすたも初参加。餅つきの前に、常福寺(北九州市若松区)の住職が前日から仕込んだ手作りおでんで腹ごしらえ。 毎年顔を合わせる檀家さんたち。一緒に餅をつき、お…

娘の彼氏が運転する車の助手席に初めて乗ってみた

命懸けだったが・・・ 年末年始の買い物をするため、福岡県久山町のコストコに行った。 娘の彼氏のねすたに車の運転を任せた。 免許取得後、パパの車を運転するのは2回目だ。 しかも、車はドイツ製のビートル。 ウインカーのレバーの位置などが教習所の車と…

娘の彼氏に初めて車を貸した日

スタートからつまずく 「パパ、きょう、車使う?」 朝、娘が聞いてきた。 理由を尋ねると、佐賀県鳥栖市に買い物に行く用事があるという。 運転手は、彼氏のねすた。 ねすたは自動車免許を取得したばかり。 大丈夫か。1年前に免許を取った娘が運転した方がい…